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主にテレビドラマや時代劇、アニメの感想文を書いているブログです。

シティーハンター 第51話「史上最強の敵!!獠と香のラストマッチ(後編)」(終)

槇村の墓参りを済ませた冴羽は一人、香が捕えられているロードスマフィアの船へと乗り込む。やがて海坊主も駆けつけ、冴羽は殺し屋三兄妹との対決に挑む。
サボウ、デナイを倒し、長兄・ゲルマとの対決にも勝った冴羽であったが、脱出路を塞がれ万事休す。死を覚悟した冴羽であったが……。

香の脱出シーン「WANT YOUR LOVE(歌:北代桃子)」。また、ロードスマフィア船上での最初の銃撃戦で「MIDNIGHT LIGHTING」が流れる。第4話以来の使用か。

仮装舞踏会での事件により、香はロードスマフィアの手に落ちてしまった。冴羽は香を救出しなければならない。第1話で菜摘と落ち合った場所でもあるマスターの店で一人、カクテルXYZを飲む冴羽。なお、カクテルXYZが1話では赤かったのに対し、今回は透明である。槇村の墓の前のシーン、墓には「BORN-1959 DIED-1987」となっていることから、28歳の若さで亡くなったことが分かる。槇村の墓前で香を連れ戻す約束をし、一人ロードスマフィアの船へと乗り込んでいく。

船にたむろする雑魚を言葉だけで威圧する冴羽。その後激しい銃撃戦が展開されるが、海坊主が加わり混戦に。その隙に、冴羽は船内へと潜入。暗闇の船内ではまずサボウが待ち受けていた。蛍光塗料が含まれた手榴弾を受け、暗闇でも居場所が分かるようになってしまった冴羽だが、その裏をかいてサボウを始末。続いてデナイとの対決では、身軽なデナイに翻弄されるもこれを打破。バランスを崩して自ら船底へと落下していくデナイを助けようとする冴羽だが、敗北を認め自ら死を選ぶデナイ。その表情は優しかった。

いよいよ長兄・ゲルマとの対決。一対一の早撃ちで決着を付けることとなるが、ゲルマの愛銃は「オートマグ」。冴羽曰く「早撃ちには適さない」そうだが、ゲルマの銃を抜くスピードは冴羽を凌駕していた。冴羽の敗北かと思われたが、ゲルマが撃った銃弾に冴羽の銃弾が命中し粉砕。驚きのあまり隙を見せたゲルマの胸に、冴羽のパイソンの銃弾が突き刺さる。有意義な対決の中で敗れたゲルマは、満足そうな表情を浮かべて死んでいった。

ゲルマが遺したオートマグを使って香をエレベーターで逃がした冴羽。しかし脱出路は塞がれており、いよいよ死を覚悟する。なお、ロードスマフィアの幹部は一人だけヘリで脱出しようとするも、外で待ち構えていた海坊主のバズーカを受けて死亡する。

冴子と麗香は香を救出するが、冴羽だけは戻ってこない。船内で静かに最期の時を待つ冴羽だったが、爆発により船内に開いた穴から海水が流れ込んだことで脱出に成功する。これで、槇村が追っていた麻薬組織の侵攻を阻止し、香を救うという約束を果たしたのであった。

ロードスマフィア殺し屋三兄妹

ゲルマ

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三兄妹の長兄。タキシードに身を包んだ紳士で沈着冷静。何かと暴走しがちな弟・サボウを諌める立場でもある。愛銃はオートマグ。その腕前は冴羽を凌ぐ。また、マイケル・ガーラントの名前を知っていたことから、世界レベルの殺し屋としての風格も漂う。

自らが認めた相手には一対一の対決を申し込むあたり、ガーラントと似た気風を感じさせる。ロードスマフィアの幹部にそのやり方をなじられるも、あくまで勝負に拘る姿勢を見せた。冴羽よりも数秒早く銃を抜くものの、ツキに見放されて死亡。しかし、その死に顔は非常に満足そうであった。

サボウ

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三兄妹の次男。愛銃は散弾銃。粗暴な性格で、力押しでの対決を得意とする。前編の冒頭で、海坊主を追い詰めたのもこの男だった。冴羽とは前編のクライマックスで対決しているが、勝負はお預け。後編では、暗闇の中で蛍光塗料を使った狡猾な戦法を見せるが、その戦法の裏をかいた冴羽によって眉間に銃弾を撃ちこまれ即死する。

デナイ

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三兄妹の長女。「ディナイ」とも。武器は先端に鋭利な刃物が付いた糸と手裏剣。クールビューティで、前編ではその美貌を活かし、毒を仕込んだルージュで冴羽の唇を奪うことにより死に至らしめようとするなど、女特有の武器を使うこともある。

後編ではその身軽な動きを活かし冴羽を翻弄。隙を見せた冴羽を宙釣りにし主導権を握るが、手裏剣を避けられ格闘戦に。しかし、バランスを崩したことで寄りかかった手摺が崩れたため、そのまま船底に落下する不運な結末に。冴羽は思わず救いの手を差し伸べるが、自分が殺そうとした相手が自分を救おうとするという、恐らく今まで経験したことのない事態に驚きを見せるものの、敗北を認め自ら死を選ぶ。落下していく際の表情は、殺し屋としての険しい顔ではなく、優しい女性の顔そのものであった。

エンディングアニメ(絵コンテ・演出:青木悠三作画監督神村幸子/原画:青木悠三

一部のファンからは「オープニングを越えたエンディング」とか「シティーハンターの真のテーマソング」といった声があがるほど、ファンにとってはおなじみのエンディングテーマである。1話から51話の最終回まで変更されることなく継続し、その結果、作品のイメージに与えた影響は計り知れないものがある。その証しとして、1997年に放送されたテレビスペシャル『グッド・バイ・マイ・スイート・ハート』ではアレンジ版が、1999年に放送されたテレビスペシャル『緊急生中継!? 凶悪犯冴羽獠の最期』ではオリジナル版が使用されている。

クロージングのストップモーションからイントロが流れ、視聴者の余韻を残しながらシームレスでこのエンディングへと入って行く演出は非常に評価が高く、続編でもこの手法を貫いている。

このエンディングテーマの演出も、初期オープニングと同様に青木悠三(劇中では「港野洋介」名義)が担当。作画の一部にも参加しているように見える。冒頭、猛烈な勢いで流れていくヘッドライトとビルの窓の明かり、そこへ冴羽の表情が浮かび上がり、女性のシルエットに向かって走り出す。また、冴羽の手から零れていく蝶の影(人間らしさや優しさをイメージしたものか?)と、倒れこんだままそれを再び掴もうとして消えていく儚さ、大都会の路地裏で心に闇を抱え膝を抱く香、高層ビルの屋上で大都会のイルミネーションを下にして佇むイメージなど、シティーハンターの世界観を濃密に凝縮した演出を施している。

セリフ

ゲルマ「冴羽獠……マイケル・ガーラントを引退に追い込んだ男……か。久しぶりに血を沸かせてくれそうだな」*第32話のエピソードより。なお、第32話の脚本は今回と同じ遠藤明範。

冴羽「カクテルXYZ……もう俺には後が無い、ってことか。」

冴羽「すまん、槇村。今度は香と二人で来るからな。」

海坊主「自惚れるな!奴らが先に狙ったのはこの俺だ!邪魔をするようなら……例え貴様でも許さねえ。」*悪態をつきながらも、なんだかんだで冴羽を助けてくれる義理堅い男である。

冴羽と香

冴羽「香!エレベーターを使って早く逃げろ!」

香「嫌だ!」

冴羽「何!?」

香「獠と一緒じゃなきゃ嫌だ!私も残る!」

冴羽「行くんだ香!俺は槇村に約束したんだ!必ずお前を助けるって」

香「兄貴に……?」

冴羽「……頼む!行ってくれ……そうじゃないと、俺は槇村に会わせる顔が無い!……急げ!グズグズするな!」

*死を意識したセリフ。地獄で槇村と会う覚悟はできていたようだ。

次回予告

香「獠喜べ。キャンペーンガールから依頼だよ!ボディーガード、やる?」

冴羽「あたぼうよ!」

香「でもね、明美ちゃんってまだ15歳なのよ?」

冴羽「げげっ!これあの星占い娘!」

香「じゃあ街でいきなりプロポーズしてきた子って彼女だったの?まさか獠に会いたくてでっち上げたとか?」

冴羽「いや、狙われているのは嘘じゃない。だけどなんか妙なんだよなあ……シティーハンター2『獠は許婚!?出会って恋して占います!(前編)』」

香「絶対見てね!」

*今回で最終回なのだが、本放送当時は翌週から『シティーハンター2』として放送が継続されたため、次回予告は従来のまま行われた。

キャスト

冴羽獠:神谷明/槇村香:伊倉一恵/野上冴子:麻上洋子/麗香:鷹森淑乃

海坊主:玄田哲章/ゲルマ:田原アルノ/サボウ:稲葉実/デナイ:玉川砂記子*1/幹部:加藤精三/マスター:青森伸/手下A:山寺宏一/手下B:天海武/手下C:松下惇/手下D:諸井信一

スタッフ

脚本 遠藤明範
絵コンテ こだま兼嗣
演出 山口美浩
作画監督 磯野智
原画 村中博美/中島美子/黄瀬和哉/西澤晋/三島美代子
動画 網野佳子/春日久美子/四本忠司/川島由美子/スタジオ天/スタジオMAY
動画チェック 石井康雄
色指定 千葉賢二
仕上 スタジオ・ボギー/岡本直子/石丸好美/小川澄子/福島友子
特効 千場豊(マリックス)
背景 獏プロダクション/本田修/中原英統/西村康浩/服部一広/佐藤和寛/平川信之
撮影 旭プロダクション/長谷川洋一/末弘孝史/福田寛/土岐浩司
編集 鶴渕映画
タイトル マキ・プロ
効果 松田昭彦(フィズサウンド)
整音 大城久典
音響制作 オーディオ・プランニング・ユー
録音スタジオ A・P・Uスタジオ
現像 東京現像所
メカニカルデザイン 明貴美加
設定 秋山浩之
制作助手 渡辺葉子/佐藤あさみ
制作進行 星野匡章
文芸 外池省二
製作担当 望月真人

CITY HUNTER Vol.9 [DVD]

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