E.blog

主にテレビドラマや時代劇、アニメの感想文を書いているブログです。

ルパン三世PARTIII 第14話「誘拐ゲームはお好き」

脚本:平野靖士 絵コンテ・演出:橋本三郎 作画監督小川博司 尾鷲英俊

アメリカの大富豪アルダ婆さんが誘拐された。銭形が身代金を奪った犯人を捕まえてみれば、それは何とルパン三世。ところがルパンはアルダ婆さんなんて知らないし、何よりこの三日間の記憶が無い。原因は不二子の催眠術。その不二子は、狂言誘拐を演じたアルダとその息子ロンとルパンをダシに賭け勝負。誘拐犯として捕まったルパンが逃走できれば不二子の勝ち、できなければ不二子の負けでロンと結婚、というもの。しかし賭けに勝ったにも係わらず不二子は監禁される。
アルダは愛する息子ロンを何としても不二子と結婚させてやりたいのだ。そこへルパン登場。ロンと入れ替わり、ロンには催眠術をかけ自分をルパンだと思い込ませる。銭形によって捕縛され特定重要犯罪人として即刻絞首刑と決まったルパンだが、大詰めで中身はロンと種明かし。顔色を変えるアルダであったが、ロンは無事。ルパンはアルダ家の全財産75億ドルを頂戴し、ついでに催眠術で不二子の心も頂戴する。

不二子の催眠術で記憶を失っている間に誘拐犯に仕立て上げられてしまったルパン。銭形や次元にまで犯罪者としてのプライドを傷つけられ良い迷惑である。

不二子は大富豪アルダ婆さんの息子ロンに言い寄られていたわけだが、このロンちゃんがとんでもないマザコンかつヘンタイで、不二子の裸体人形でセックスの練習をするなどもはや奇行の領域。母親のアルダ婆さんもアルダ婆さんで、息子の部屋を六面モニターで監視し、更にはロン(に扮したルパン)が監禁されている不二子を押し倒す際には「ママ、ちゃんと見ててね」「良いわよロンちゃん、ママが最後まで見ていてあげますからね」とマザコンを通り越したヘンタイ親子ぶり。

今回はAパートの不二子の顔がサドッ気たっぷりな女王様みたいな顔に。Aパートは尾鷲英俊(OHプロ)が担当し、Bパートは小川博司(501)が担当の模様。アルダ婆さん役には、幻海師範でありオリーブである京田尚子。ロン役には沢りつお

なお、この作品は『シティーハンター3』第6話「がんこな海坊主!ジェラシー子猫物語」に流用されている(脚本はどちらも平野靖士が担当)。

review.hatenadiary.jp

ルパン三世 PARTIII Disc.3 [DVD]

ルパン三世 PARTIII Disc.3 [DVD]

LUPIN THE THIRD PARTIII DVD-BOX

LUPIN THE THIRD PARTIII DVD-BOX

LUPIN THE BOX -TV&the Movie- [DVD]

LUPIN THE BOX -TV&the Movie- [DVD]

ルパン三世 PARTIII Blu-ray BOX

ルパン三世 PARTIII Blu-ray BOX

ルパン三世PARTIII 第13話「悪のり変装曲」

脚本:鈴木清順 絵コンテ・演出:吉田しげつぐ 作画監督:田中平八郎 高田三郎

「往生際が悪いぞ!このパリの田舎者め」銭形との追いかけっこに心身共に疲労困憊のルパン。そこへ「さあ、奮い立ていざ!」とばかりに不二子が仕事を持ちかける。武器商人である世界の大富豪マダム・ルイサが各国のセレブを集めて大パーティーを催すのだ。そこへ潜入し、ちょっとその指を曲げて貴金属を頂戴しようというのが今回の作戦。ルイサの屋敷はロケット・貴婦人号となっており、大気圏を脱出して宇宙旅行へ。
ナントカ共和国とカントカ国の死にもの狂いの戦争を高みの見物と洒落こむ貴婦人達だが、ブラックローマン戦師団と名乗るゲリラ組織に人質にされてしまう。戦師団の団長は何と不二子だった。不二子はこの作戦が目的だったのか?銭形警部は人質解放のための身代金持参者の任をルイサから直々に指名される。貴婦人150人の身代金1,500万ドルと、街頭募金で集めたルパンの身代金10ドルを持参したが、身代金不十分としてルパンは磔にされ死の危険に。これこそパーティー最後の余興である、古代ローマ時代から貴婦人のみに許された"虫けら"殺しであった。槍を持った貴婦人たちがルパンを襲おうとしたその瞬間、大量のカラスが宝石を狙って飛来。その隙を突いて銭形はルパンを救出するが、ルパンは滝つぼへと落下してしまう。
追ってきたカラスの生肉を食べ滝つぼ奥の地下道を進むルパン。井戸から出たその先はルイサの屋敷だった。屋敷に潜入すると、そこには様々な変装道具が。不二子の変装道具は無かったが、その他ルパンファミリーの変装道具もあり、ルパンは銭形に変装してルイサ屋敷の中心部へ。そこには不二子がいたが、それはルイサが変装した姿だった。ルイサはカラスによって片目を失い、美しさと虚栄心だけでプライドを保っていた自分を撃てとルパンに命令する。拒否をして部屋から出るルパンだが、ルイサは拳銃自殺。「俺はどうせ虫けらさ」。その帰り道、銭形の変装防止箱を突破したルパンだが、現れたカラスを見てルパンは……

個性的な鈴木清順脚本。シュールな吉田しげつぐ演出。後の『バビロンの黄金伝説』の監督コンビが手がけ、一般的にルパン三世テレビシリーズの中で最も難解であり問題作と言われる今回のお話。初めて見る視聴者はきっと振り回されることだろう。しかし全体的には決して凡作駄作の類ではない。妙なオーラが出ている作品には違いない。サブタイトル挿入までの銭形とルパンの追いかけっこは原作「悪のり」を忠実に再現したもの。接着剤ツールは銭形が苦心惨憺発明したという設定。物語の本題に入ると、原作「凶」の中から「金持ちマダム」「カラス」「変装防止箱(原作では「変装防止機」)」のキーワードを抜き出し散りばめながら構成されている。原作のナンシー井村もマダム・ルイサと同じ武器商人だけれど、単純に置き換えているわけではないようだ。サブタイトルどおり「変装」という部分がフィーチャーされており、ルイサが変装した不二子がルパンを誘惑し、貴婦人号の司会進行やゲリラの首領になるなどストーリーと並行して二転三転。ルパンも女装したり銭形になったりカラスになったりと大忙し。初めて見た人は、冒頭の不二子がルイサの変装だとはまず気付かないだろう。トリック暴きはルパン自身も銭形に変装し、黒幕ルイサとはお互い別人のまま邂逅する面白い展開。ルイサは最後にルパンの前で素顔を晒したが、片目が無く傷だらけの顔であり、本当の素顔を知らないルパンにとってはもはや別の顔(=変装)、という解釈も取れるか。また、鈴木清順の影響かそれぞれのセリフも特徴的で、ルイサがルパンに自分を銃殺するよう促す際にに告げる「何の感情も無く殺しなさい。あなたを名誉ある殺人者に選びました」の言葉が印象的。さて問題のラストシーン。カラスを見つめるルパンの瞳が赤くなり、妙な効果音とともにストップモーション。恐すぎ。カラスの生肉を食べて幻覚でも見えたのか?ここが一番解釈に難しいところ。しかし、実は何の意味も無いのかもしれない。吉田演出回って、新ルでもこんな終わり方している時あったよね。吉田演出で気付いた点をもう一つ挙げると「死神ガーブ」でもそうだが止め絵の演出が多い。パースリでは出崎統を意識したかのような演出が目立つ。また、ルイサ不二子がルパンを足蹴にしビンタするシーンや、ルイサの屋敷内を進む銭形ルパン、ルイサと銭形ルパンの掛け合いなど、演出傾向として後の『バビロンの黄金伝説』にリンクしていく雰囲気も感じ取れる。マダム・ルイサ役には宗形智子。

ルパン三世 PARTIII Disc.3 [DVD]

ルパン三世 PARTIII Disc.3 [DVD]

LUPIN THE THIRD PARTIII DVD-BOX

LUPIN THE THIRD PARTIII DVD-BOX

LUPIN THE BOX -TV&the Movie- [DVD]

LUPIN THE BOX -TV&the Movie- [DVD]

ルパン三世 PARTIII Blu-ray BOX

ルパン三世 PARTIII Blu-ray BOX