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主にテレビドラマや時代劇、アニメの感想文を書いているブログです。

必殺からくり人 富嶽百景殺し旅 第12話「東海道金谷」

大井川に面した東海道金谷の宿に到着した一座の面々。本陣の旗が赤く浮かび出たことから、宿場内で手がかりを掴むためそれぞれの場所へ座員が潜り込む。この金谷の宿では「極楽桜」と呼ばれる桜の木で若い娘が首を括る事件が多発。その背景には、大井川での川止めを利用して悪どい稼ぎを行う脇庄屋(田口計)、川庄屋(松山照夫)、道中奉行・宗方直光(高野真二)の影が。本来川止めをするべき水位ではないにも係わらず川止めを断行、闇の渡しを営み急ぎ旅の旅人から法外な渡し料を貪っていたのだ。この悪事がきっかけで年端も行かぬ娘を女郎に売り飛ばされたおふじ(今出川西紀)は、娘が極楽桜で首を括った事を知り、傷心のまま脇庄屋で奉公することに。脇庄屋のもとへ潜入していた宇蔵(芦屋雁之助)は彼女の身の上話を聞いて心を通わせる。

脇庄屋は庄屋を営む富士見屋総介(伊沢一郎)を追い落とし自らが庄屋にならんと画策。陣旗が赤く浮かび出たのは、庄屋が狙われているサインだった。脇庄屋たちの闇渡しを黙認してきた総介だが、とうとう川庄屋一味の手にかかり奉公人の嘉平(梅津栄)と共に殺されてしまう。そして、脇庄屋の妾になることを拒んだおふじも宇蔵が駆けつける直前に殺されてしまった。「地獄の宿場」の鬼たちを始末するからくり人たち。

「箱根八里は馬でも越すが、越すに越されぬ大井川」当時箱根と並ぶ東海道の難所であった「大井川」を舞台に、川止めで暴利を貪る連中と、川止めによって今生の別れとなった母娘の悲哀にからくり人たちが絡む。被害者の女性に肩入れする役目は主に唐十郎なのだが、今回は珍しく宇蔵が担当。おふじと心を通わせるも不幸な結果に。

脚本の荒馬間は、当時朝日放送社員であった古市東洋司の変名である。他に『新必殺仕置人』『翔べ!必殺うらごろし』で一本ずつエピソードを提供した後、朝日放送を退職。フリーの脚本家、作家として活躍した。

東海道金谷」

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大井川のうねりとそれを乗り越えんとする川越人足たちがダイナミックに描かれている「東海道金谷の不二」。右奥のほうに小さくはためく庄屋の陣旗が赤く浮かび上がる。その左には、若い娘たちが命を散らした「極楽桜」も。

脚本 荒馬間
監督 原田雄一

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