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主にテレビドラマや時代劇、アニメの感想文を書いているブログです。

必殺仕事人V旋風編 第5話「主水、X'マスプレゼントする」

長崎。隠れ切支丹であった大黒屋は、隠れ切支丹狩りの名手と言われた長崎奉行・加納源太夫(高峰圭二)によって踏み込まれ一家斬殺される。大黒屋の娘・お小夜(貴倉良子)は、祝言を挙げる予定だった伝道師・宗次郎(辰巳琢郎)と命からがら逃げ出し「江戸で会おう」と約束する。

半年後、政(村上弘明)と顔なじみになったお小夜は、江戸で働きながら宗次郎を探す毎日。その宗次郎は、江戸で布教活動を行っており、定期的にミサを開いていた。ある日開かれたミサの中に、旗本・牧野守正(峰蘭太郎)の妻がいたが、江戸に戻り目付に昇進した加納の手下によって強請られ、その要求を拒んだことにより斬殺されてしまう。牧野死亡の現場検証に立ち会った主水(藤田まこと)は、その惨たらしいやり方に疑問を抱く。長崎で勉強していた順之助(ひかる一平)に話を聞くと、加納は長崎時代に切支丹狩りで手柄を立ててきた人物で、特に毎年12月25日の大規模集会の取り締まりを的確に行ってきたのだと言う。

酔漢に襲われるお小夜を助けた銀平(出門英)。夜も頑張って仕事をするお小夜だが、大店・石田屋の娘が男と入水自殺をする場面を目撃する。そこに現れたのは何と宗次郎。感動の再会を果たす二人。男女を切支丹に入信させ、ミサを開く合図である凧を揚げるお小夜であったが、その様子を加納の配下が見ていた。

ミサが終わった帰り道をつけられ、強請られる石田屋。そして、お小夜は加納の屋敷に入る宗次郎を目撃。宗次郎と加納はグルだったのだ。宗次郎が切支丹へ誘った中に、立場のある人間がいた場合、その情報を加納に送り強請る或いは始末するという筋書き。それを知ってしまったお小夜は加納によって犯された挙句に殺されてしまう。その様子に、顔色一つ変えない宗次郎。瀕死のまま政の家にたどり着き、恨みを晴らして欲しいと依頼して絶命。主水たちは加納たちを始末する。

内容、キャスト、演出などが頑張った作品。真面目で好青年な外見の辰巳琢郎を悪人に起用したのも面白い。

相変わらず林千代の脚本は悪人のセリフ回しがドライで冷酷だが、なかなか内容も良く及第点。演出も頑張っている。後半部分に集中しているのだが、まず最初は、お小夜が腹を刺され雪が積もる道を歩くシーン。一度倒れるが、手に持っている紙みたいなものを燃やすと、そこにキリストの像や父母の笑顔が映る。「マッチ売りの少女」そのまんま。でも、これを必殺でやるのだから面白い。

次に殺しの場面。順之助バズーカの囮となるお玉さん。少し屈んだ時のお尻が艶かしいが、標的がバズーカの正面に来た途端、お得意の大ジャンプ。ただ大ジャンプするだけでなく、そのまま木の枝を掴んで大車輪。バズーカの弾が悪人を貫通し、絶命して背後が爆発した後は銀平の殺しだが、これも非常にスピーディ。殺される悪人の側もオーバーアクションだが、これがまた良い味を出している。倒れ方が絶妙で、結果的に銀平の殺しが映えることになり美しい。

政のパートは、お小夜が売って歩いていた紙みたいなものを燃やし、上から降らせながらのこれまた美しい殺し。必殺仕業人「あんたこの迷惑どう思う」で天津敏を始末したときの演出に似ているとも言えるか。最後は主水。何も言わず脇差で加納を刺し殺し足早に去っていく。スケジュールが押し迫っていて時間が無いんだろうな。本編での出番も少ないし。

ラストのせんりつコント。X'マスプレゼントの交換をする主水とりつ。りつから主水へは足袋が。主水からりつ へは高級化粧品セットが。実はお玉から安値で買い叩いたリサイクル品だが、15両したと嘘をつく主水。この時の、りつが驚く様子を短いストップモーション3段階で表現したのが、ちょっと意表を突いた演出となって面白い。

スタッフ

脚本 林千代
監督 松野宏軌

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