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主にテレビドラマや時代劇、アニメの感想文を書いているブログです。

必殺橋掛人 第2話「佃島のおとめ魚を探ります」

お光(西崎みどり)が選んだ的は佃島。火で炙ると、そこには「浅」という文字が浮かんだ。

佃島では、幕府よりの御禁令が発せられ、鯛を獲ることが禁止されていた。というのも、佃島の鯛は「おとめ(御留)魚」と呼ばれ、初物が獲れるとまず将軍が口にし、その後御台所が食した後に庶民が口にすることが出来るという高貴な代物。ところが、御禁令が発布されている最中、鯛を獲ろうと密漁を試み、挙句命を落としたものが現れる始末。

おとめ魚に関連した仕事と睨んだ橋掛人たちは佃島で調査を開始。調査の最中に新吉(宅麻伸)は佃島に住む漁師・浅吉(本田博太郎)に出会う。どこか影のある浅吉の姿に、新吉は江戸地図に浮かび上がった「浅」という文字を重ね合わせる。

一方、柳次(津川雅彦)は佃島で担ぎ呉服の表稼業をしながら調査を開始。料亭を経営している清兵衛(飯沼慧)に出会い、その羽振りの良さに目を付ける。それもそのはず。清兵衛は同じ料亭の板前・佐太郎(牧冬吉)と岡っ引き・銀次(出水憲司)と共謀し、強引な手段で漁師を強請り、本来禁猟で獲れないはずの鯛を密漁させ、豪商たちに振舞うことで暴利を貪り、利用した漁師を次々と口封じとして殺していたのだ。

新吉が出会った浅吉も、過去に密漁を働いていたことで強請られた挙句、妻・おきみ(竹井みどり)を人質に取られ、止む無く鯛を密猟。新吉に多助への依頼を願い、佃島を逃げ出そうとするのだが、間一髪のところで銀次に見つかり、夫婦揃って殺されてしまう。

佃島の祭りで賑わう夜に、殺しに向かう橋掛人たち。

橋掛人でいつも思うのだが、劇判が『必殺仕切人』のものを流用しているせいか、音楽のせいで軽く感じてしまう。もうちょっと旧作の劇判を大量に流用していると……それこそ、柳次の殺しのテーマである必殺仕業人くらいの時代の曲を流用してもらえると、もう少し作品に対する印象も変わってくるのだが(後半はからくり人の曲なんかも使い出すけれど)。

本田博太郎の魅力である「暴走気味なテンションの高さ」は感じられなかったけれど、竹井みどり扮する可愛い奥さんとのカップリングがなかなか良い感じ。本田博太郎夫婦が殺され、川に流される演出は、なかなか生々しくて良い。さすが工藤栄一演出といったところか。『新必殺からくり人』2話のラストでも、川に流される駆け落ちカップルの末路をああいった形で描いていたことが思い出される。

飯沼慧、出水憲司、牧冬吉と時代劇マニアなら泣いて手を叩く悪役揃い。今や文学座の重鎮である飯沼慧。顔を見ればピンとくる出水憲司。牧冬吉は工藤栄一監督のお気に入りなのか、『新からくり人』の1話や『必殺まっしぐら!』の1話など工藤栄一監督担当の作品で悪役を演じている。

殺しのシーンも丁寧。松が囮のためにわざと池にはまって溺れ、佐太郎を誘い出す。必死に助けようとしている佐太郎に瓦を投げつけるおくらはちょっと酷いと思ったけれど。柳次の殺しはやっぱりかっこいい。今回も金糸をブンブン振り回してる。

スタッフ

脚本 保利吉紀
監督 工藤栄一

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