シティーハンター3 第1話「脱モッコリ宣言!XYZは世界を救う」
ルビリア大使館の臨時職員・森脇美鈴は何者かに命を狙われていた。「XYZ」の三文字で冴羽にボディーガードを依頼するのだが、どういうわけか犯人については口を閉ざし続けるのだった。
美鈴と依頼の打ち合わせをするホテルのBGM「ゴーゴーヘブン(歌:大沢誉志幸)」、美鈴が香と組んで冴羽のモッコリを撃退するシーン「MAKE UP TONIGHT(歌:河合夕子)」、美鈴が自分のルビリアへの想いを吐露するシーン「FOREVER IN MY HEART(歌:Kirsten Steinhauer)」、冴羽のマンションに襲撃してきたゲアリーを退治するシーン「砂のキャッスルのカサノヴァ(歌:北代桃子)」。
シティーハンター3ヶ月ぶりの依頼に心躍る香。放送日と冴羽たちの実生活を照らし合わせると、『シティーハンター2』終了後から依頼が全く無かったことになる。その間、冴羽たちの貯金は底をついて貧乏生活に陥っているという設定も非常にコミカル。当の冴羽はというと、お金が無くても別に関係ないみたい。「XYZ」が何なのか忘れているし。
人気女性声優・林原めぐみをゲストヒロインに迎えた今回のお話。この頃の代表作として『らんま1/2』の「女らんま」や、サンライズ作品では『魔神英雄伝ワタル』の忍部ヒミコ、『機動戦士ガンダム0080』のクリスチーナ・マッケンジーなどで活躍しており、当時の第三次声優ブームの代表的な人物とも言える。新たな幕開けとなる第1話に相応しい人選ではないだろうか。なお、槇村香役の伊倉一恵は『魔神英雄伝ワタル』で虎王役を演じており、ヒミコと虎王の掛け合いよろしく、本作中でも林原とのコンビネーションは抜群である。
命を狙われているにも係わらず、ボディーガードだけで済ませて欲しいという不可解な依頼。それもそのはず。自分の命を狙っているのは、自分が勤めるルビリア大使館で補佐官を務めているゲイリーだからだ。税関フリーパスの特権を利用し、盗み出した日本の美術品を海外へと持ち出す不正を働くゲイリーの正体を知った美鈴だが、その事実が露見してしまうと、日本政府によるルビリアへの自然保護援助が打ち切られる可能性がある。美鈴は、日本の企業の手によって次々と自然が破壊されていくルビリアに、緑を甦らせようと必死。だから、日本政府とルビリアとの調印式が終わるまで真相を黙っておく必要があったのだ。
美鈴の口を塞ぐことに躍起となったゲイリーは、自ら冴羽のマンションに侵入し美鈴殺害を目論む。しかし、そこには「遊び人のリョウちゃん」が立ちふさがる。冴羽は香との絶妙なコンビネーションでゲイリーたちを撃退。美鈴は冴羽と香に深い感謝を抱きながら、ルビリアへと旅立っていった。
概要
初作『シティーハンター』が51話で最終回を迎えた後、間髪入れず翌週より放送された『シティーハンター2』も非常に好調で、延長に延長を重ねて全63話を放送するに至った。また、『シティーハンター2』放送時には、劇場用作品である『シティーハンター 愛と宿命のマグナム』が製作・公開され、屈指の人気シリーズとなった。
『シティーハンター2』最終回から3ヶ月のインターバルを経て製作された本作は、メインスタッフ(監督のこだま兼嗣、演出の青木悠三(港野洋介)、キャラデザインの神村幸子、総作画監督の北原健雄)のメンバーこそこれまでのシリーズを引き継いでいるものの、キャラクターデザインに若干の変化を加え、画的なマンネリを打破する工夫が見受けられる。冴羽の衣装については、これまでの「赤のシャツに青のジャケット、黒のパンツ」といったスタイルから、「黒のシャツにアイボリーのジャケット、白のパンツ」といった清潔感のある衣装に変更となった。この衣装は、先述の『愛と宿命のマグナム』のオープニング冒頭で冴羽が着ていた衣装である。作画面においても、これまでキャラクターデザインに徹していた神村幸子が作画監督、エンディングと登板数を増やしており、全体的にシャープだったこれまでの北原健雄路線とは少し違った柔和な作画を見る機会が増えるようになる。
原作から抜粋したエピソードは少なく、オリジナルストーリーをメインとした構成も特徴的だが、これまでの長期化した話数ではなく、今作は1クール(13話)で完結。次回作『シティーハンター'91』まで、1年と3ヶ月の充電期間に入ることとなる。
オープニングアニメ(絵コンテ:森本晃司/演出:今西隆志/作画監督:北原健雄/原画:森本晃司、沖浦啓之、大平晋也)
小室哲哉が歌う「RUNNING TO HORIZON」に合わせて展開されるスピーディなオープニングアニメーション。従来オープニングを担当してきたこだま兼嗣、青木悠三(港野洋介)といったメンバーではなく、シティーハンターシリーズ初参加となる森本晃司が絵コンテと原画に抜擢された。
演出には初期シリーズから参加している今西隆志を起用。作画監督は作品の責任上、総作画監督である北原健雄が担当してはいるものの、動きの部分などでさほど修正が加えられていないようにも見える。
狙われた香がヘリに追われて激しく動くのに対し、余裕を見せる冴羽の表情や動きの対比が、静と動のバランスを表現している。その二人が合わさったとき、香を追っていたヘリは冴羽のマグナムによって破壊され解決するという見事な構成。部屋を後にする二人が扉を閉めるところで終わらせているのも、余韻を持たせていて非常に気持ち良い。
セリフ
冴羽「XYZって何だっけ?」
冴羽「88Cカップの前に無理の二文字は無い!」*やけに美鈴の「88cmCカップ」に拘る冴羽
香「ううん、違う違う!あたしたち仕事上のパートナーってだけで、夫婦じゃないわ!あ、便利だから、同じマンションに住んでるだけだし、あ、あたしの部屋だって一階下なんだから」*美鈴と夫婦と勘違いされて、照れながら釈明?
冴羽「俺たちの仕事は依頼人の美鈴君を守ることだ。そのためには、香も喜んで死ぬ。そうだろ?……俺の腕は聞いているはずだ。香を撃っている間に、俺は間違いなく貴様の頭を撃ちぬく。自分の命だ。好きなほうを選ぶんだな」
美鈴「この二人……反発しあってばかりいるけど、深い信頼で繋がれているんだわ。なんて羨ましいコンビかしら」
次回予告
冴羽「お次のモッコリちゃんはだぁ~れ?」
香「依頼人とお呼びなさい。まあどうせ、美女しか出ないシティーハンターですけど?」
冴羽「だっしょ~?」
香「明さんっていう弁護士さんなの。バリバリのキャリアウーマンよ?」
冴羽「働く女性は美しい!僕にピッタリの知的美女!こういう人待ってたんだあ」
香「本当ピッタシ!リョウをモッコリ罪で訴えるチャンスだもんね~」
冴羽「シティーハンター3『天下の恋愛現行犯!美人弁護士をくどく法』」
香「見ないと有罪よ?」
スタッフ
脚本 | 外池省二 |
---|---|
絵コンテ | こだま兼嗣 |
演出 | 藤本義孝*1 |
作画監督 | 北原健雄 |
原画 | 丹沢学*2/久高司郎/高橋信也/木村雅広/池原百合子/嵯峨敏/鈴木美千代/門上洋子 |
動画 | 高橋良行/上野恩/喜久川馨/川田栄三/吉留信哉/常木志伸/スタジオたくらんけ |
動画チェック | 石井康雄 |
色指定 | 深田早苗 |
仕上 | スタジオディーン/新井こずえ/佐藤典子/手塚悦子/青木利栄/奈良原美幸 |
特効 | 千場豊(マリックス) |
背景 | スタジオ・イースター/矢島洋一/高橋智子/北川晴美/影山誠哉/飯島寿治 |
撮影 | 旭プロダクション/長谷川洋一/大神洋一/薮田順二/土岐浩司 |
編集 | 鶴渕映画 |
タイトル | マキ・プロ |
効果 | フィズサウンドクリエイション 松田昭彦 |
録音スタジオ | APUスタジオ |
整音 | 柴田信弘 |
音響制作 | オーディオ・プランニング・ユー |
現像 | 東京現像所 |
メカニカルデザイン | 小原渉平 |
文芸設定 | 稲荷昭彦 |
制作助手 | 外池葉子 |
色彩設計 | 中山しほ子 |
仕上助手 | 新垣純子 |
製作担当 | 望月真人 |
制作デスク | 池部茂 |
制作進行 | 近藤康彦 |
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