シティーハンター 第26話「愛ってなんですか?獠の正しい恋愛講座」
箱入り娘のお嬢様・由貴がファーストフード店「ドナルドマグ」でアルバイトを始めた。アルバイトをしている間のボディーガードを依頼された冴羽は、純粋培養の由貴に恋愛を教えることに。恋を知らない由貴は、冴羽に惹かれていくもどう感情表現をして良いのか分からず苦悩する。
全てが終わったとき、冴羽との出会いと別れが「初恋」であることを知った由貴。やがて彼女が本当の恋をした時、冴羽のことは思い出として永遠に由貴の胸に刻まれることだろう。
前半期最後の作品は冴羽が銃を一度も抜かない異色編。『新ルパン三世』において、できるだけルパンや次元大介に銃を抜かせず、人を殺す描写を回避してきた「港野洋介」こと青木悠三が構成と絵コンテを担当しているためだろうか。
最近出来たファーストフード店「ドナルドマグ」の女性バイトにちょっかいを出し続ける冴羽だが、そこには清純なお嬢様・由貴が勤めていた。まさか彼女のボディーガードをするとは思いも寄らなかった冴羽、依頼人である父親からの評価は最悪のままスタートするが、冴羽は由貴があまりにも「世間知らず」なことを危惧。彼女に「恋愛」を教えるために立ち上がる。
初デートでポルノ映画の看板を指差して興味津々に質問したり、公園で無邪気に戯れる純真無垢な由貴に冴羽は独自の恋愛講座を実践。由貴は冴羽に強烈に惹かれていくが、恋を知らない由貴は何かの病と勘違い。香に相談してもまだ理解できず、アルバイトが終わり、冴羽との「別れ」を体験し初めて「初恋」と気付き涙するのだった。こんな渋い終わり方に、香もちょっと戸惑い気味。
挿入歌。冒頭の店内曲に「WANT YOUR LOVE(歌:北代桃子)」。また次回からオープニングが変更となるが、その主題歌である「ゴーゴーヘブン(歌:大沢誉志幸)」が同じく店内曲と初お目見え。そして、由貴がアルバイトを卒業する際にかかる「NEVER GO AWAY(歌:北代桃子)」も初登場。今後は事件解決後「GET WILD」に繋ぐ曲としてかかることがある。
今回は脚本ではなく「構成」というポジションが初めて導入されている。これは今後『シティーハンター3』まで継続されるポジションで、主に演出家が担当。シリーズを通して港野洋介(青木悠三)が初めてその役割を担い、次回はこだま兼嗣が前後編で手腕を発揮する。今回は演出や作画でも相当自由が利いたのか色々とお遊び要素満載なのだが、それは後述で詳しく。青木悠三独特のタッチも、いくつかのカットに散見される。また『シティーハンター'91』までシリーズの第一線で活躍することになる演出家・藤本義孝(ふじもとよしたか)が初参加した回でもある。当時23歳での抜擢であった。
原作
「天使のほほえみ」「愛ってなんですか」「リョウちゃんの恋愛講座」「お医者様でも草津の湯でも!!」「初恋」
冴羽獠の恋愛講座
その一 好きになりかけた男の違った面を見せて、恋愛感情を刺激する
その二 相手の嫉妬心を煽り、恋愛感情を認識させる作戦
セリフ
冴羽「彼女は、父親に大事に温室で育てられた花のようなものさ。つまり、恋愛も世間のことも教えられていない人間が、世の中に出てやっていけるか、ってことだよ。今のうちに、温室の壁を取り払わなければいけない。そして、もっと強い花にならなくてはな。それを教えることが本当に由貴を守ることになるんだ。自分で守る術を持たなきゃ」
夫人「きっと、これがあなたの初恋だったのね。由貴」
次回予告
冴羽「何?海坊主からの依頼!?」
香「『氷室真希と一日デートしろ』だってさ。彼女、今話題のバイオリニストだよ?」
冴羽「やったぁ!もつこりチャンス」
香「無理じゃないの?海坊主は彼女の『足ながおじさん』だもん。おまけに彼女狙われてるって」
冴羽「むふふ。海坊主が犯人追ってる間に、真希ちゃんに迫っちゃおっと!シティーハンター『獠と海坊主の 純情足ながおじさん伝説(前編)』」
香「絶対見てね!」
スタッフ
構成 | 港野洋介*3 |
---|---|
絵コンテ | 港野洋介*4 |
演出 | 藤本義孝*5 |
作画監督 | 谷口守泰 |
原画 | 逢坂浩司/野中幸/小森高博/小川瑞恵 |
動画 | 山本みどり/アニメ・アール/スタジオ ムサシ/たくらんけ |
動画チェック | 石井康雄 |
色指定 | 中山志甫子*6 |
仕上 | 遊民社/津田美加/光井朋夏/川口由美子/森美奈子/藤塚篤 |
特効 | 千場豊(マリックス) |
背景 | スタジオ・イースター/矢島洋一/北川晴美/清水隆夫/南沢貞子/影山誠哉 |
撮影 | 旭プロダクション/長谷川洋一/末弘孝史/福田寛/土岐浩司 |
編集 | 鶴渕映画 |
タイトル | マキ・プロ |
効果 | 松田昭彦(フィズサウンド) |
整音 | 大城久典 |
音響制作 | オーディオ・プランニング・ユー |
録音スタジオ | A・P・Uスタジオ |
現像 | 東京現像所 |
設定 | 山本之文 |
制作助手 | 渡辺葉子/佐藤あさみ |
制作進行 | 会田剣一 |
文芸 | 外池省二 |
製作担当 | 望月真人 |
アニメ・アールのお遊び
『ルパン三世PARTIII』ではOH!プロがお遊びの部分を担当し、数多くのゲストキャラクターや名物キャラクターを流用してきたが、『シティーハンター』でもアニメ・アールがたまにそんなお遊びを敢行することがある。以下、由貴とデートする際の繁華街でのシーンを解説。
*右端に20話で登場した軍太夫が。
*「アングラ座」なんて映画館の名前も怪しいが、その左でタバコを吸っているサングラスにヒゲの怪しい男こそ、当時のサンライズプロデューサー・植田益朗である。
*架空のポルノ映画にスタッフらしき名前が!『いつもあなたと』主演「加瀬厚子」は加瀬充子、『夢の中で・・・』の主演「南雅子」は南雅彦をもじったもの。監督今西隆志……ってそのまんま。
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