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主にテレビドラマや時代劇、アニメの感想文を書いているブログです。

必殺からくり人 富嶽百景殺し旅 第2話「隠田の水車」

渋谷川のほとりにある隠田にやってきた天保太夫一座。早速宿を取るが、土地の代官である源八郎(外山高士)に宿泊禁止を命じられる。理由は、甲州の糸商人が泊まるからだ。大金を持つ商人が、どうしてこんな田舎に泊まるのか解せないお艶(山田五十鈴)たち。興行の許しを得るために代官所へ向かうお艶は、代官と同席した庄屋・清兵ヱ(堺佐千夫)に挨拶をし小屋掛けの許可を貰う。

小屋で北斎の絵を炙り出すお艶。赤く浮かび上がったのは小さな「亀」だった。唐十郎沖雅也)は「北斎先生はそれで分かると言っていた」と言うのだが。さて、甲州の糸商人たちは和尚(伊東亮英)たちに招待されて寺へ。そこでは村の荒くれ者・金次(遠藤征慈)たちが誘拐してきた女たちをゴールに見立てての「亀のレース」が行われていた。活きの良い亀を何十両といった大金で買った商人たちは、自分が選んだ亀が行き着いた先の女をおもちゃに出来る。用済みの女は四谷の岡場所「亀甲屋」へ売り飛ばす、といった筋書きで、これは代官と庄屋もグルであった。

この騒動に巻き込まれた亀吉(小林芳宏)とおたね(早川絵美)の2人は、金次たちによって無残に殺害された。代官たちの次の標的はうさぎ(高橋洋子)。金次は「行方不明になった(亀のレースで岡場所に売られた)娘を誘拐した悪党こそ天保太夫一座だ」と村人を扇動し小屋に火をつけ、一座が混乱している最中にうざきを誘拐する。小屋は村人たちに取り囲まれ絶体絶命だが、鈴平(江戸屋小猫)の声帯模写の陽動が成功。村人が小屋を離れた隙に寺へ乗り込んだお艶たちは、代官一派を始末し隠田を後にする。

役人、庄屋、和尚、村の荒くれ者と、田舎で絶大な権力を持った連中による度を越えた接待に女たちが泣かされている。そして、そのツールとして「亀」が出てくるというもの。赤く浮かび上がったのが「亀」と「糸」。二つのキーワードは上手くストーリーに組み込まれているのだが、とにかく「亀」と名の付くものが数多く登場し、お艶と視聴者を混乱させる。

小屋掛けした一座の料理番を務める唐十郎。宇蔵の「板前だったのでは?」との問いには何も答えずじまいだが、唐十郎の過去に関してはこの後のエピソードでたっぷりと。村人のリーダー格である金次の言葉を、簡単に信じこんでしまう村人たち。閉鎖的連帯感によるものか。お艶が「この村は来たときから変だったよ」と漏らす感想も分かるような気がする。

殺しのシーン。唐十郎の釣竿が二人の首を串刺し。この演出は今後も出てくるし、『風雲竜虎編』の影太郎も同様の殺し技を見せていた。宇蔵の魚篭で顔を砕かれた庄屋の、魚篭を取ったときの顔も面白い。お艶の分解三味線がここで早速披露。三味線の糸で絞殺することも可能みたいだ。唐十郎が金次一味を始末した後、お艶の姿を見て思わず照れ隠しのような仕草を見せるが、あれは何を意図したものだったのだろうか。

「隠田の水車」

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真ん中少し左下。子供が連れた亀が赤く浮かび出る。

脚本 神波史男
監督 松野宏軌

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