眠狂四郎 円月殺法 第3話「女体いけにえ無情剣 -神奈川・横浜村-」
横浜村でお蘭(松尾嘉代)と再会する狂四郎(片岡孝夫)。その直後、異人に銃で狙われる金八(火野正平)を助ける。この新式銃を我が物とせんと、薩摩側と幕府側が策略を巡らす。
一方、下衆の亭主・丈吉(高峰圭二)に体を売るよう強要される哀れな女・お浜(范文雀)と出会う狂四郎。度重なる丈吉の外道ぶりに、とうとう丈吉を刺し殺したお浜は自訴して出るも、新式銃を売り込みに来ている武器商人・ミケーレ(ディック・エムハイハース)に見初められ羅紗綿となった。数奇な運命を辿るお浜に、狂四郎は自らの生き様を重ね合わせる。
お浜を人身御供にした幕府側・浦賀奉行の柴山外記(浜田久夫)は新式銃を落札。しかし薩摩側・海老原蔵人(伊吹吾郎)が実力行使で銃を奪い去る。そこへ現れる狂四郎。薩摩勢を円月殺法で打ち破り、新式銃を爆破。横浜村を離れる際、新たな異人の羅紗綿となったお浜と見つめ合う狂四郎。それぞれの運命が流れ着く先は何処か。
ゲストヒロインに范文雀を迎えた今回のお話。江戸を離れた最初のエピソードは横浜村が舞台。薩摩側と幕府側が狙う新式銃密売の駆け引きに、ヒロイン・お浜の数奇な運命が交差する。
お蘭、「濡れ燕のお蘭」と改名して鳥追をし狂四郎の後を追う。武器商人であるミケーレは、新式銃の営業マンとして仲買の鳴海屋と結託して薩摩、幕府両側からの買値を釣り上げる魂胆。マンガなどのネタでよく、外国人が「切腹(ハラキリ)ガミタイデース」などと要求するやりとりがあるが、ミケーレもその類の変人で、人間のクズである亭主を刺し殺したお浜が江戸へと護送される途中に彼女を見初め、罪人にもかかわらず羅紗綿にしてしまう。この取引に尽力した浦賀奉行の功績によって、幕府側が新式銃を落札することに。
このお浜の運命も流転を繰り返す。もとは江戸で慎ましい家庭を持っていたが、火事で家族を失い、自殺しようとしていたところを助けたのが丈吉だった。しかし、丈吉は博打で借金をこさえてはお浜に春を売らせ、挙句の果てに女郎に売りさばき自分は浮気。殺されても仕方の無い外道であった。この男を殺し陣屋へ自訴をするのだが、待っていた前述の運命。この生き方に、狂四郎は「女は流されるものだとお浜は言った。俺はその流れに逆らって生きている。お浜と俺は、その流れの中で出会った藻屑なのかもしれん。どちらが果てない旅を続ける定めか……」と自らの生き様とを重ね合わせる。
鉄砲落札できず実力行使に出る薩摩。蔵人一人で浦賀奉行率いる部隊を全滅させる。鉄砲を奪って逃げる薩摩側を、今度は狂四郎が追いかける。円陣で取り囲み、狂四郎の疲弊を待つ戦法を取る薩摩藩士だが、円月殺法によって冷静さを失った藩士は次々と斬りかかり全員死亡。腕や足が斬り飛ぶ迫力ある殺陣も見物。ギャグパートでは、都田と金八のやりとりが面白い。女郎屋で腰巻のニオイをうっとりとした表情で嗅ぐ都田、最悪である。
スタッフ
企画 | 神山安平(テレビ東京)/大塚貞夫(歌舞伎座テレビ) |
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プロデューサー | 犬飼佳春(テレビ東京)/小久保章一郎、沢克純(歌舞伎座テレビ) |
原作 | 柴田錬三郎「眠狂四郎孤剣五十三次」より(新潮文庫版) |
脚本 | 和久田正明 |
音楽 | 岩代浩一 |
撮影 | 藤井哲矢 |
美術 | 太田誠一 |
制作主任 | 黒田満重 |
照明 | 南所登 |
録音 | 田原重鋼 |
調音 | 本田文人 |
編集 | 河合勝巳 |
装飾 | 玉井憲一 |
記録 | 川島庸子 |
装置 | 松野喜代春 |
進行 | 大志万宗久 |
助監督 | 木下芳幸 |
殺陣 | 楠本栄一 |
特技 | 宍戸大全 |
ロケ協力 | 大覚寺 |
装置 | 新映美術工芸 |
床山・結髪 | 八木かつら |
衣装 | 松竹衣装 |
小道具 | 高津商会 |
現像 | 東洋現像所 |
ナレーター | 佐藤慶 |
制作協力 | 京都映画株式会社 |
プロデューサー | 佐々木康之 |
監督 | 皆元洋之助 |
製作 | テレビ東京/歌舞伎座テレビ |
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