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主にテレビドラマや時代劇、アニメの感想文を書いているブログです。

必殺まっしぐら! 第2話「相手は京の欲ボケ貴族」

脚本:中原朗 監督:工藤栄一 ゲスト:藤木孝 江幡高志

長屋のドブ掃除中に さぶ(大沢樹生)に呼び出された秀(三田村邦彦)。宗右衛門(睦五朗)は盲腸による急激な腹痛で寝込んでいたが、それでも裏の仕事を依頼。殺す相手は京都の公家・宇多野小路篤麿(藤木孝)。京都出身の綾麻呂(笑福亭鶴瓶)に篤麿についての情報を聞く お銀(秋野暢子)だが、綾麻呂は京都を出てから17、8年帰っていないために知らないらしい。早速、今回の依頼料を若紫(菅原昌子)に渡す秀。若紫は「身請けの話がある。断れなかったらゴメンね」と弱気。東吉(西郷輝彦)も お松(桃山みつる)に引き止められながらも京へ出発する。

途中の宿場で高野長英(南条好輝)とお銀の儚いラブロマンスに嫉妬した綾麻呂が自殺を試みようとしたり、宗右衛門と敵対する仁十郎(藤岡重慶)の手下に秀が追われるなどの波乱もあったが、それでも一同は京で落ち合う。宇多野小路篤麿は、御所の宴会や行事の際に食事関係を取り仕切る「御所大膳式」の役職にあり、御所に食材を納入する京白川堂(田中弘史)、江差屋(楠年明)と結託し、ライバルの老舗商家を蹴落としていく。その中には、秀が出会った菓子問屋・竹屋道久(江幡高志)もいた。

篤麿の屋敷は広すぎて寝室がどこにあるかさえも分からない。しかし篤麿が妾を囲っている情報を知った秀たちは、妾に会いに行くところを狙う。そして、篤麿に組する連中も同時に狙うのだった。

滝沢馬琴の日記によれば、この話は天保4年8月15日頃のお話。天保の大飢饉による庶民の苦境が劇中で語られている。冒頭、猛暑からたまらず水を飲んだり、魚の干物を間食する秀、長屋のドブ掃除に精を出す住人など、生活観溢れる演出は工藤栄一らしい。が、本編に入るとその演出に陰りが見える。

構成にバラつきがあり、高野長英とお銀のロマンスもどこかチグハグ。京へ入ってからの展開も詰め込みすぎなのか、篤麿が乗馬を得意とするシーンを何度か見せ付けているにも係わらず、最後までまったく関連性が無く意味が無いなど無駄が多い。秀が道中の竹薮で仁十郎の配下に追われるシーンでは『必殺仕置人』のサブタイトルに使われていた曲がフルバージョンで躍動したり、仁十郎が京都で仲間の元締と思われる人物と密談をする場面など、頑張っている部分もあるのだが。

京の人たちが五山送り火を眺める夜に殺し。誰かに見られるんじゃないか?と思われる緊迫感のある殺しだが、案の定、東吉の殺しが仕留める直前で失敗してしまう(この時の、精一杯まで視聴者に緊張感を持たせておいて、急に殺しを取りやめるという急激な緩急をつける演出が面白い)。結局、秀が殺しを行う篤麿の屋敷に東吉が悪人を連れ込み、秀の殺しの後に東吉がブスリ。お銀の殺しに、なぜか急に『新必殺仕置人』の悲しみの曲が。今後は秀の殺しに使われるのだが、今回は実験的に使用か。江幡高志の胡散臭い和菓子屋が良い。

史実人物

京都へ向かう途中の宿場で囚人が護送されてきた。彼は脱走し お銀の部屋に隠れる。その男を匿う お銀は束の間の恋に落ちる。彼はやがて外国へ行きたいと漏らし再び脱走するが、捕縛されてしまう。彼こそシーボルトに医学を学んだ蘭学者高野長英であった。

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