シティーハンター　第２話「私を殺して！！美女に照準は似合わない」

依頼人は科学者・清水美津子。ペットの去勢薬開発中だった父が突然自殺したのは、ペットのみならず人間にも作用する伝染性の去勢細菌を開発してしまったから。その情報を嗅ぎ付けた死の商人が美津子を狙う。
ワクチンを開発するまでの護衛と、もし敵に捕らえられた場合には殺して欲しいという二つの依頼。冴羽は何とか美津子の心を開こうとするが、不意打ちを喰らい美津子は死の商人の手に。冴羽は依頼どおり美津子の命を奪うことができるのか？

父が開発した、人類滅亡に直結する細菌データを記憶に宿した依頼人・美津子。死の商人に狙われ、その孤独感から疑心暗鬼の状態へと精神的に追い詰められギスギスしている。何とか心を解そうと試みる冴羽の行動に、反発しながらもじょじょに理解を深めていく。しかし「スイーパーとしては信用しますけど、男としては全く信用していませんからね」って、これ第１話の菜摘にも言われていたような。

美津子のもう一つの依頼でもある「敵に捕まったときには私を殺して」を果たすため、どんな壁でも貫く銃弾を特注する冴羽。催眠ガスを撃ち込まれ美津子を連れ去られたときに使用を決意するも、それは美津子の心の壁を貫くためだった。

作画が妙に濃い今回の作品。原画はスタジオ・ダブのメンバーが参加しているのが目立つのだが、「伏見灘」とか「鮎川まどか」など、怪しい名前も目立つ。作画監督の「鈴木四郎」自体も謎。さて、後の作品では完全無欠の活躍を見せる冴羽だが、今回は美津子をさらわれてしまうドジを踏む。死の商人たちが乗るヘリを追い、槇村が操縦するセスナの方翼に立ちライフルを構える冴羽がカッコイイ。美津子を狙う死の商人、中東系か。ボスのモハメド不気味過ぎ。配下の男の一人には、次元大介でありクリスタルボーイでもある小林清志を起用。初回の藤田淑子に続き、ヒロインに日高のり子を迎えるなど豪華な配役。

演出では、美津子がホテルの一室で徹夜でワクチン開発に励むシーンで挿入歌の一つである「GIVE ME YOUR LOVE TONIGHT（歌：鈴木聖美）」が流れる。劇判担当の国吉良一が手がけたもので、非常にムードのある、挿入歌の中でも名曲の一つ。ただ単に音楽だけを流していたのでは、恐らく几帳で退屈なシーンだったとは思うが、このようなセンスの良い音楽を使ってカバーすることで、マイナス部分をプラスへと変化させている。シティーハンターは全体を見ても音楽面で相当演出が助けられているわけだが、このシーンもその一つと言える。

原作

読み切り「シティーハンター -XYZ-」

セリフ

冴羽「どうだ、撃たれた気分は？あまり良い気分じゃないだろう。君のその美しい顔が、弾丸に引き裂かれてボロボロになっちまうんだぜ？」

美津子「私……ワクチンが完成したら、あなたのこと、研究してみます」

次回予告

冴羽「次回は、え～何々？タイトルマッチを目前に控えたボクサーが殺されちゃった？依頼人はその恋人のめぐみさん……あぁ、これって何か暗そうねえ。ん？めぐみちゃんの職業を見ろ？ふむふむ……ええ！？ねえねえこれ本当？本当に美人のお医者さんなの？やるやる！死んでもやる！彼女の悲しみは、俺がこの手で癒してやる。さあ、めぐみさん！愛のリハビリを！次回『愛よ消えないで！明日へのテンカウント』」

キャスト

冴羽獠：神谷明／槇村：田中秀幸

美津子：日高のり子／クラーク：小林清志／モハメド：亀井三郎／アーノルド：戸谷公次／男A：島香裕／男B：梅津秀行／インストラクター：伊倉一恵／女性客A：矢崎えり*1／女性客B：須賀由香理／女性客C：林玉緒／女性客D：平山せい

スタッフ

脚本	平野靖士
絵コンテ	網野哲郎*2
演出	網野哲郎*3
作画監督	鈴木四郎
原画	藁谷均／中野美佐緒*4／佐久間信一／井上容子／福永武彦／伏見灘／鮎川まどか
動画	網野圭子／池原百合子／大貫良／うさぎ屋／スタジオ・ダブ
動画チェック	石井康雄
色指定	隈部昌二
仕上	九魔プロダクション／岩沢れい子／米村貞子／奥野孝一／公平保之／横田政一
特効	千場豊（マリックス）
背景	スタジオ・イースター／矢島洋一／北川晴美／清水隆夫／南沢貞子／影山誠哉
撮影	旭プロダクション／長谷川洋一／末弘孝史／福田寛／土岐浩司
編集	鶴渕映画
タイトル	マキ・プロ
効果	松田昭彦（フィズサウンド）
整音	大城久典
音響制作	オーディオ・プランニング・ユー
録音スタジオ	A・P・Uスタジオ
現像	東京現像所
設定	山本之文
制作助手	渡辺葉子／佐藤あさみ
制作進行	秋山浩之
文芸	外池省二
製作担当	望月真人